阪急文化財団ブログ

共催展レセプションにて

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現在五島美術館で開催している

「特別展 東西数寄者の審美眼  阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション」では、

開催に先立つ19日にレセプションが開催されました。

当館からも館長の仙海と、担当学芸員Rが参加させて頂きました。

(帰路、新幹線の遅延に遭遇し大変な目にあったようですが)

写真は、レセプションでご挨拶をする直前の、

なぜか直立不動になっている仙海と、

レセプションで振る舞われたお料理の数々です。

学芸員Rによりますと、ケーキがとても美味しかったようです。

五島さんでの展覧会は12月9日(日)まで開催されます。

(展覧会の情報についてはこちら)

また、仙海は11月11日に五島美術館において、

「小林一三 コレクションの形成と美術館構想」と題した講演をさせていただく予定です。

普段なかなか関西におこしになれない関東周辺の方や、お近くの方はぜひとも、展覧会で小林一三のコレクションをお楽しみいただければと思います。

(学芸員A)

池田文庫の本棚放浪記【第4回】~宝塚歌劇海外公演(2)~

前回に続き、宝塚歌劇海外公演資料のご紹介です。前回についてはこちらをご覧ください。

 

(3)記念アルバム

前回ご紹介したパンフレットは、現地の人に「宝塚歌劇ってこうなんです」と紹介するものでした。それに対し、記念アルバムは、日本のファンに「海外公演はこうでしたよ」と教えてくれるものです。お土産といっていいかもしれません。パンフレットと違い、日本語で書かれています。近年のものは公演写真集というタイトルで刊行されています。

アルバム・写真集というタイトル通り、図版が多いのが特徴です。舞台写真はもちろん、現地を観光するタカラジェンヌの様子も撮影されています。写真以外にも日誌がついており、一行がツアー中にどんな日々を過ごしていたかを追うこともできます。

 

1938(昭和13)年から翌年にかけて、ヨーロッパで初の海外公演が行われたことについては前回触れました。その一行が帰国してまもない1939年4月、今度はアメリカへと別の一団が旅立ちました。下は、その第一回アメリカ公演の様子を教えてくれる公演アルバムです。

 

もちろん現地での公演の様子も掲載されていますが、公演の合間に各地の名所を巡る一行の様子を撮影したものにも、かなりのページを割いています。

船中の様子、ハワイ、サンフランシスコの金門博覧会見物、ヨセミテ渓谷、ハリウッド、列車旅行の様子、ニューヨーク、シカゴ、ポートランド、シアトル ... etc.

7月上旬に帰国するまでの3ヶ月間、実にいろいろな場所を訪れています。

 

もちろん公演や観光だけでなく、表敬訪問や、歓迎会への参加、催しや余興への出演、お稽古もあります。一行の忙しくも充実した日々については、巻末の日誌に詳しく記録されています。ニューヨーク行きなんて、旅の最中に決まっているんですよ。

当時、アメリカ本土へは、船で片道2週間はかかりました。一般市民には易々と手の届くものではなかったでしょう。一生に一度、経験できるかどうかの貴重な旅。異国の地で公演する緊張や疲労はもちろんあったでしょうが、写真の中のタカラジェンヌたちは、旅を心から楽しんでいるようにみえます。この本を手に取ったファンも、映画の中でしか見ることのない地に、彼女らが降りたち散策する姿を、まぶしく眺めたのではないでしょうか。

太平洋戦争開戦により、日米が敵対関係になるわずか2年前の出来事でした。

 

 

さて、池田文庫で所蔵している海外公演記念アルバム・写真集にはどのようなものがあるのか。まずは、池田文庫蔵書検索サービスの詳細検索画面をご覧下さい。

請求記号のところに「775-T/Cb-K」~「775-T/Cb-K」と入力し検索すると、一覧が出てきます。

池田文庫では、海外公演記念アルバム・写真集に「775-T/Cb-K」という独自の記号を付与し、整理しています。

公演先の国名で検索しても、うまくヒットしない場合は、この方法でも調べてみてくださいね。

 

 

(司書H)

2018友の会見学旅行は「奈良」でした!

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台風24号の接近におびえつつ、9月29日(土)に2018年度の友の会見学旅行に行ってきました。

朝からあいにくの雨模様でしたが、朝8時15分に池田を出発。台風のせいなのか想像していたよりも遙かに道がすいており、結構早く最初の目的地である大和文華館さんに到着しました。

大和文華館さんは、現在「大和文華館の中国・朝鮮絵画」展を開催されており、まずは都甲学芸員によるスライドレクチャーを受け展示室へ。国宝を始めとする名品を見学させていただきました。

お昼は一度はお伺いしてみたい!と密かに思っていた「奈良ホテル」さんで懐石料理を頂きました。どれもこれも美味しくて幸せな気分に。

時間が足りず奈良ホテルさんの中などを見学できなかったのはちょっと心残り...。

お昼からは今年で創建1250年の春日大社へ。権禰宜の御案内で特別参拝させていただきました。

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ここでお参りさせていただいていいのですか!?というところも上がらせていただきました。

また続く国宝館でも松村主任学芸員にご案内いただきました。突如姿を見せるお鹿さまに少しびくびくしながら春日大社を後にし、最後は西大寺さんへ。

ご本尊へ参拝させていただいた後は、大茶盛の体験です。お茶碗だけじゃなく、その他のお道具もそれに合わせた大きさになっており、すごい迫力でした。

というわけで、今年度は友の会見学旅行では初めて奈良に訪れてみました。お世話になった皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

阪急文化財団友の会では、年に1度このような見学旅行を行っています。もしご興味がおありの場合は、ぜひご入会してください。

 

(学芸員A)

池田文庫の本棚放浪記【第3回】~宝塚歌劇海外公演(1)~

今秋、宝塚歌劇星組の台湾公演が行われます。梅田芸術劇場を皮切りに、最終的に台湾に持っていく作品の上演も始まっています。そのことにちなみ、今回は宝塚歌劇の海外公演資料についてご紹介したいと思います。

池田文庫で所蔵する宝塚歌劇海外公演関連の資料として、おおまかに次のものがあります。

(1) ポスター

(2) パンフレット

(3) 記念アルバム

そのほかにも、『歌劇』など雑誌類で、当時の関連記事を読むことができますし、海外公演に参加した演者やスタッフが、自身の著作物でそのことに触れている場合もあります。また、池田文庫では関連の新聞記事を切り抜いてスクラップブックを作成してきました。該当年代のものを調べると、その中に関連記事が含まれているかもしれません。スクラップブックはマイクロフィルム化したものを閲覧できます。

 

(1) ポスター

阪急文化アーカイブズで「海外公演」で検索すると、所蔵する海外公演ポスターを見ることができます。ぜひお試しを。

 

(2)パンフレット

現地の観客向けに製作されたパンフレットです。一番の特徴は、やはりその土地の言語で宝塚歌劇について説明されていること。外国語ではそうなるのかと意外性もあって、なかなか面白いです。

「凡爾賽玫瑰 -菲爾遜與瑪麗安托瓦内特篇-」

なんの演目だかわかりますか? (ヒント:2015年台湾で上演された演目)

 

上は、 初の海外公演の際に製作されたパンフレットです。

1938(昭和13)年から翌年にかけて、ドイツ・ポーランド・イタリアの各都市をまわりました。そのため、ドイツ語とイタリア語で書かれています。

表紙は富士山に桜。お約束ですね。掲載されている写真も、ほぼすべて和装姿。いかにも「日本」なイメージでアピールしています。実際にかかった演目もすべて日本物でした。当時、西洋文化圏の人を惹きつけるには、異文化の香りを持ち込むことが一番と考えられたのでしょう。

比べて近年のものは、ことさら日本的なイメージを主張するものではなくなってきました。むしろ、現地でお馴染みの物語を演目に取り入れる試みも行われています。

今度の台湾公演の『Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀』も、そもそもは台湾の有名な人形演劇から来ているとか。現地の文化と宝塚歌劇の融合が、台湾の人にどう受け止められるのか気になりますね。

 

池田文庫は全ての海外公演のパンフレットを所蔵しているわけではありません。もし、どの海外公演のパンフレットを所蔵しているか知りたい場合は、蔵書検索サービスで調べてみてください。

宝塚歌劇海外公演」で検索すると、逐次刊行物の検索結果に「宝塚歌劇  海外公演」という親タイトルが出てきます。

 

 

これをクリックすると、下の表示に ↓


 

各公演パンフレットは「宝塚歌劇 海外公演」という親タイトルにぶらさがっている目録構成です。

一部の資料には、閲覧にご予約・ご紹介状が必要な場合もありますので、ご注意くださいね。目録に「要紹介状」と記載されているものがそうです。

 

(3)記念アルバム については、次回ご紹介します。

 

(司書H)

 

図録新発売♪

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ただいま開催中の五島美術館さんとのコラボ展では、

図録『東西数寄者の審美眼 阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション』を絶賛販売中です。

この図録は展覧会に出品するすべての作品を掲載しています。

展覧会は途中展示替えを挟みますので、展示替えであいにくみていただけなかった作品や、お気に入りの作品ができた場合は、こちらを1冊手に取っていただきますと、今回の展示のすべてがここにあります。

論考としては、講演会もお願いしております、齋藤康彦先生の「小林一三と五島慶太の茶の湯の交流」をはじめ、それぞれのコレクションの特色を述べた各論・資料なども収載しています。

盛りだくさんな内容になっておりますので、ぜひお手にとって頂き、そして保存版としてお家の蔵書に加えてくださいね。

 

(学芸員A)

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