阪急文化財団ブログ

小林一三が持ち帰ったガムランが蘇る!

小林一三が持ち帰ったガムランが蘇る!
  Margasari【マルガサリ】・・・Magnolia
   ~ガムラン-典雅な響きと舞い~  9月23日開催


ガムランチラシ


このところ、NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」の話題があちらこちらで飛び出し嬉しい限りです。今日はいよいよ後編放送です!

先週5日放送の前編では、阿部サダヲさん演じる一三さんは、
とんでもないことをしでかすのに、憎めない、お茶目なキャラクター。
後編ではそのシャープな眼がキラリと光り、斬新な発想を現実のものとしていきます。
一三さんの眼力も見所の一つですね。

今日放送の後編では、先週4日に、わがマグノリアホールでマシンガントークを繰り広げてくださった "あのミュージカルスター"井上芳雄さんの姿も登場します!
前編は語りだけでしたからね・・・。

ところで、小林一三翁の業績は、へぇ~こんなことも?!というものがどんどん出てくるのですが、日本に初めてガムランを持ち込んだことはご存知でしょうか???

そもそも、「ガムランって?」と思われる方も多いかと思います。
ガムランはインドネシアの民族音楽です。
ジャワ島やバリ島を旅行された方は、現地でご覧になったかもしれませんね。
銅鑼(ドラ)や鍵盤打楽器など様々な楽器を組み合わせて合奏されます。
小林一三は、商工大臣をしていた1940年に蘭印(インドネシア)を訪れます。
そのときに持ち帰ったのが、ジョグジャカルタの王家筋に伝わるガムラン一式です。
なんと、これがガムラン楽器の日本上陸第1号というわけです。

このガムランは、宝塚歌劇の『女八幡船(おんなばはんせん)』(1941年)という作品をはじめ、
『ジャワの踊り子』(1952年・1982年)でも使われました。
ただ、これらの劇中では小道具的な扱いで、演奏するというほどではなかったようです。

そして、月日は流れ池田文庫で保管することになったのですが、
楽器としては損傷があり、演奏することは難しい状態でした。

ガムラン保存状況

小林一三の持ち帰った博物資料とするなら手を加えない方がよい・・・。
でも、そのまま眠らせておいては日の目を見ることはなさそう・・・と考えたあげく、
傷んだ部分を修復し、楽器として蘇らせることにしました。
このガムラン一式はインドネシアへしばしのお里帰り。
立派な楽器として戻ってきた1998年に、池田文庫で御披露目のコンサートをしました。
その後は宝塚歌劇『MAHOROBA』(2007年)でも使われています。

インドネシアでの修復から御披露目コンサート、
さらにその後は今日までガムラン一式を預かっていただき、
楽器として活用していただいてる中川真先生のグループ「マルガサリ」の皆様によって、今回のコンサートが実現しました!
舞踊もあわせてご覧いただきます。

一三翁がジョグジャカルタで魅了されたガムランってどんなもの?
そんな疑問をお持ちになった方はぜひこの機会をお見逃しなく!!

今夜のドラマで商工大臣になる一三さんもしっかり見届けてくださいね。

(学芸員T)

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第3弾

小林一三ドラマ・トリビア第3弾です。
ドラマの中でもひときわ異彩を放つ借金ダルマ。
前篇の後半、一三さんがダルマの悪夢にうなされるシーンがありましたが、
あの時寝ころびながら読んでいた雑誌がこれです。


hoto



『ホトトギス』1907(明治40)年1月号です。
夏目漱石「野分」、寺田寅彦「森の絵」、高浜虚子「欠び」などが収録されています。
ただしドラマで使われたのはこれを基にした複製で、
裏表紙は同年12月号のものが使われています。

この『ホトトギス』、現在は池田文庫の所蔵ですが、
旧蔵は小林一三自身ですので、本物の一三さんも手にしたものと思われます。
100年以上時が流れてドラマで使用されるなんて、何だかステキなお話ですね。

一三さんは若い頃から文学と芝居が大好きでした。
ドラマでも小説を書いているシーンがありましたが、
実際17歳で新聞に小説を連載するなど、早熟の文才を持ち合わせていたようです。
宝塚歌劇の台本も30作ほど書いています。

ほかでもない『ホトトギス』だからこそ、文芸を愛した一三さんのもう一つの顔が、
さりげなくあの場面に描かれていた...のかもしれません。

(学芸員Y)

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第2弾

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア第2弾です。

今回のドラマには池田文庫の蔵書も登場しています。
前編の冒頭、一三さんが現金輸送中にこっそり本を読むシーンがありました。
その本がこれです。

chika

タイトルは『近松叢書 曽根崎心中 心中二枚絵双紙 博多小女郎浪枕 合巻』
明治24(1891)年武蔵屋叢書閣による出版で、池田文庫の蔵書は初版のものです。

「近松」というのは浄瑠璃・歌舞伎の作者、近松門左衛門のことです。
一三さんの近松好きは自伝『逸翁自叙伝』等でも知られていますが、
それをふまえた脚色と言えそうです。

あ、現金輸送中にお金を盗まれそうになったというエピソードはフィクションですよ(たぶん...)


(学芸員Y)

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア♪

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」前編、ご覧になりましたでしょうか? 

私(=学芸員Y)始終ニヤニヤしながら見ておりましたが、
終盤の岩下清周さんと一三さんのやりとりでは、感極まって思わず涙がホロリ。
これは後編も絶対に見逃せません...


さて後編では、一三が実際に暮らした雅俗山荘(現 小林一三記念館)や逸翁美術館の収蔵品が登場しますが、
前編でも池田文庫の所蔵資料がいろいろ登場していました。

たとえば、開業時の梅田駅に貼られていたポスター(女性の絵)や路線図、
電車の正面がデザインされた開業告知ポスターなどです。
画像はこちらの下の方→http://www.hankyu.co.jp/ekiblo/hensyu_bu/20206/

もちろん実物ではなく複製で、ドラマに合うよう加工されているものもありますが、
資料のこういう活用のあり方も私たちには大変うれしいことです。

女性の絵のポスターは、池田文庫内のポスター検索システムのほか、
小林一三記念館の展示室でもご覧いただけます。
実は女性が手にしている団扇には当時の路線図が描かれていますが、
延伸予定として宝塚の先の有馬駅や、梅田の先の野江駅なども載っています。


もう一つ私的萌ポイントは、終盤、一三さんが資金集めに奔走し、北浜銀行へ向かう道すがら、
「あんたばっかり遊びに行かんと、たまには子供も連れて行くくらいのこと...」
という女性の声が聞こえてくるところです。

一三さんの夢の一つは「家族みんなで楽しめる新しい娯楽」を提供することでした。
それが少女歌劇も含む、一大レジャーランド「宝塚」などにつながっていきます。

このように画面の隅々まで見所いっぱいで、一言一句聞き逃せないドラマです!
早く後編が見たい...!

※このトリビアシリーズ、しばらく続きます。こうご期待!

(学芸員Y)

いよいよ小林一三のドラマ「経世済民の男」が放送です!

いよいよ、明日5日(土)の夜9時からNHK総合で、
「経世済民の男 小林一三」が放送されます。

今からもうわくわくが止りません。

前にも少し書きましたが、
「小林一三記念館」はこのドラマ「経世済民の男」のロケ地としても使用されています。
また、ドラマ内で「小林一三記念館」が映る際には、
あちらこちらで、実際に小林一三が収集した美術品も登場しています。

阿部サダヲさんや、瀧本美織さん、井上芳雄さんなどの演技はもちろんですが、
背後などにも注目してみてくださいね!


また、阪急百貨店でも9階阪急うめだギャラリーにおいて、
「創業者小林一三をたどる ~宝塚歌劇101~小林一三ワールド」と、
「放送90年ドラマ『経世済民の男 小林 一三』 ~夢とそろばん~展」が開催しています。

実際にドラマで使用した小道具なども見れますので、
こちらも是非ご覧くださいね!

また、ドラマを見て、百貨店での展示を見た後は、
逸翁美術館で現在開催中の「小林一三ワールド 逸翁の審美眼」、
池田文庫「小林一三ワールド 夢ひらく東宝」
小林一三記念館「小林一三と野球」を今月27日まで開催しております。
こちらもぜひぜひご覧くださいね!

(学芸員A)