阪急文化財団ブログ

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第5弾

小林一三ドラマ・トリビア第5弾です。
そろそろドラマの熱気も冷めてきたところ...ではありません!
まだまだ熱いです。

交友を結んでいた「松永安左エ門編」も放送されましたし、
26日には「小林一三」後編の再放送もありますしね。

さて、その後編からまたまたトリビアを。
いよいよ箕面有馬電気軌道が営業を始め、
社内や車内の様子が画面に何度も登場しました。

その背景を彩っていたポスターの数々、ご覧いただきましたか?

リアルだなぁと思われたアナタ。
それもそのはず、池田文庫所蔵の実物ポスターをもとに、
原形をうまーく残したまま、アレンジされているのです。
たとえばこれ。

shokudo

「阪急食堂」のポスターですが、これをアレンジしたものが、
あるシーンで使われていました。お気づきになりましたか?

他にも、宝塚少女歌劇の公演ポスターや
沿線案内のポスターが随所に使われていました。


池田文庫は、大正時代から現在にいたるまでの各種ポスターを
約 18,000 点所蔵しています。
それらの画像は館内の専用パソコンでご覧いただけます。

電車に関するものはもちろん、宝塚歌劇、ファミリーランド、
阪急ブレーブス、西宮球場での各種イベント、住宅・不動産、
沿線行楽などなど、100年分の歴史をお楽しみいただけます。

お立ち寄りの際は、チラッと「ポスター検索システム」を
のぞいてみてくださいね。

(学芸員Y)

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第4弾

小林一三ドラマ・トリビア第4弾です。今回は後編からご紹介。
上司の岩下清周さんと一三さんの関係に、胸が熱くなった方もいらっしゃると思います。

神戸線開通に奔走する一三さんの心の内を代弁するものとして、
『歌劇十曲』という本が登場したのを覚えていらっしゃいますか?

一三さんを「おやっさん」と呼んでいた丸山さんが、
一三さんの妻コウさんに手渡した、あの本です。

これは実在の本で、一三さんが書いた宝塚少女歌劇の脚本集なのですが、
その序文として「此書を岩下清周翁に献ず」が掲載されているのです。
(版によって掲載されていないものもあります)

もちろんこれも池田文庫の蔵書にあります。気になる方はぜひお越しください!

......と普通なら宣伝で終わるところをですね、現代はデジタル社会ですから、
国会図書館も大変素晴らしい仕事をされていまして、
何とこちらから自由にご覧いただくことができます!

 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

国立国会図書館デジタルコレクション


ドラマ自体が一つの完成した作品ではありますが、
ドラマを通じて「小林一三」のいろいろを知っていただくのも、
私たちにとっては嬉しいことです。

(学芸員Y)

ドラマを見終えて・・

怒濤のブログ更新になっていますね。
それもこれもドラマ「経世済民の男 小林一三」のおかげなのですが、
皆さんは、昨日放送の後編もご覧いただけましたでしょうか?

私は少なくとも3回は泣いてしまったのですが、
皆さんはいかがでしたでしょうか。
どちらかというと前編が、成功するまでの、
色々とダメな部分を面白く描いていただけに、
後編のシリアスな展開がより輝きましたよね。

個人的にグッときたポイントを書きますと、
1)宝塚大劇場で「モン・パリ」を見ながら久しぶりに岩下清周と再会し、
阪神との合併を持ちかけられた時のセリフです。
岩下さんの涙に、私も堪えきれませんでした。

実はこのシーンは、NHKホールで公開収録されていたシーンだったので、
私も現地で見学していました。
現役タカラジェンヌさんたちによる再現に見とれていた間に、
あんな感動的なシーンが撮影されていたなんて。

2)なんといっても長男冨佐雄さんとの病床でのシーンですね。
「約束」の話や、「自分も働きたいです」のやり取りに、
涙が溢れました。

皆さんの感動ポイントはどこでしたか?


見所シーンたくさんの小林一三ドラマは残念ながら終ってしまいましたが、
その生涯かけて集めた美術品が観られる展覧会「小林一三ワールド 逸翁の審美眼」は、
9月27日(日)まで開催しています。
是非ご来館ください♪

また、最後ドラマで東宝の忘年会でスピーチをしていましたが、
その東宝に関係する展示「小林一三ワールド 夢ひらく東宝」も、
小林一三の生涯や実際のロケ現場にもなった小林一三記念館でも、
「小林一三と野球」展を9月27日(日)まで開催しています。

三館合わせてご覧くださいませ。

(学芸員A)

小林一三が持ち帰ったガムランが蘇る!

小林一三が持ち帰ったガムランが蘇る!
  Margasari【マルガサリ】・・・Magnolia
   ~ガムラン-典雅な響きと舞い~  9月23日開催


ガムランチラシ


このところ、NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」の話題があちらこちらで飛び出し嬉しい限りです。今日はいよいよ後編放送です!

先週5日放送の前編では、阿部サダヲさん演じる一三さんは、
とんでもないことをしでかすのに、憎めない、お茶目なキャラクター。
後編ではそのシャープな眼がキラリと光り、斬新な発想を現実のものとしていきます。
一三さんの眼力も見所の一つですね。

今日放送の後編では、先週4日に、わがマグノリアホールでマシンガントークを繰り広げてくださった "あのミュージカルスター"井上芳雄さんの姿も登場します!
前編は語りだけでしたからね・・・。

ところで、小林一三翁の業績は、へぇ~こんなことも?!というものがどんどん出てくるのですが、日本に初めてガムランを持ち込んだことはご存知でしょうか???

そもそも、「ガムランって?」と思われる方も多いかと思います。
ガムランはインドネシアの民族音楽です。
ジャワ島やバリ島を旅行された方は、現地でご覧になったかもしれませんね。
銅鑼(ドラ)や鍵盤打楽器など様々な楽器を組み合わせて合奏されます。
小林一三は、商工大臣をしていた1940年に蘭印(インドネシア)を訪れます。
そのときに持ち帰ったのが、ジョグジャカルタの王家筋に伝わるガムラン一式です。
なんと、これがガムラン楽器の日本上陸第1号というわけです。

このガムランは、宝塚歌劇の『女八幡船(おんなばはんせん)』(1941年)という作品をはじめ、
『ジャワの踊り子』(1952年・1982年)でも使われました。
ただ、これらの劇中では小道具的な扱いで、演奏するというほどではなかったようです。

そして、月日は流れ池田文庫で保管することになったのですが、
楽器としては損傷があり、演奏することは難しい状態でした。

ガムラン保存状況

小林一三の持ち帰った博物資料とするなら手を加えない方がよい・・・。
でも、そのまま眠らせておいては日の目を見ることはなさそう・・・と考えたあげく、
傷んだ部分を修復し、楽器として蘇らせることにしました。
このガムラン一式はインドネシアへしばしのお里帰り。
立派な楽器として戻ってきた1998年に、池田文庫で御披露目のコンサートをしました。
その後は宝塚歌劇『MAHOROBA』(2007年)でも使われています。

インドネシアでの修復から御披露目コンサート、
さらにその後は今日までガムラン一式を預かっていただき、
楽器として活用していただいてる中川真先生のグループ「マルガサリ」の皆様によって、今回のコンサートが実現しました!
舞踊もあわせてご覧いただきます。

一三翁がジョグジャカルタで魅了されたガムランってどんなもの?
そんな疑問をお持ちになった方はぜひこの機会をお見逃しなく!!

今夜のドラマで商工大臣になる一三さんもしっかり見届けてくださいね。

(学芸員T)

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第3弾

小林一三ドラマ・トリビア第3弾です。
ドラマの中でもひときわ異彩を放つ借金ダルマ。
前篇の後半、一三さんがダルマの悪夢にうなされるシーンがありましたが、
あの時寝ころびながら読んでいた雑誌がこれです。


hoto



『ホトトギス』1907(明治40)年1月号です。
夏目漱石「野分」、寺田寅彦「森の絵」、高浜虚子「欠び」などが収録されています。
ただしドラマで使われたのはこれを基にした複製で、
裏表紙は同年12月号のものが使われています。

この『ホトトギス』、現在は池田文庫の所蔵ですが、
旧蔵は小林一三自身ですので、本物の一三さんも手にしたものと思われます。
100年以上時が流れてドラマで使用されるなんて、何だかステキなお話ですね。

一三さんは若い頃から文学と芝居が大好きでした。
ドラマでも小説を書いているシーンがありましたが、
実際17歳で新聞に小説を連載するなど、早熟の文才を持ち合わせていたようです。
宝塚歌劇の台本も30作ほど書いています。

ほかでもない『ホトトギス』だからこそ、文芸を愛した一三さんのもう一つの顔が、
さりげなくあの場面に描かれていた...のかもしれません。

(学芸員Y)