阪急文化財団ブログ

池田文庫の本棚放浪記【第4回】~宝塚歌劇海外公演(2)~

前回に続き、宝塚歌劇海外公演資料のご紹介です。前回についてはこちらをご覧ください。

 

(3)記念アルバム

前回ご紹介したパンフレットは、現地の人に「宝塚歌劇ってこうなんです」と紹介するものでした。それに対し、記念アルバムは、日本のファンに「海外公演はこうでしたよ」と教えてくれるものです。お土産といっていいかもしれません。パンフレットと違い、日本語で書かれています。近年のものは公演写真集というタイトルで刊行されています。

アルバム・写真集というタイトル通り、図版が多いのが特徴です。舞台写真はもちろん、現地を観光するタカラジェンヌの様子も撮影されています。写真以外にも日誌がついており、一行がツアー中にどんな日々を過ごしていたかを追うこともできます。

 

1938(昭和13)年から翌年にかけて、ヨーロッパで初の海外公演が行われたことについては前回触れました。その一行が帰国してまもない1939年4月、今度はアメリカへと別の一団が旅立ちました。下は、その第一回アメリカ公演の様子を教えてくれる公演アルバムです。

 

もちろん現地での公演の様子も掲載されていますが、公演の合間に各地の名所を巡る一行の様子を撮影したものにも、かなりのページを割いています。

船中の様子、ハワイ、サンフランシスコの金門博覧会見物、ヨセミテ渓谷、ハリウッド、列車旅行の様子、ニューヨーク、シカゴ、ポートランド、シアトル ... etc.

7月上旬に帰国するまでの3ヶ月間、実にいろいろな場所を訪れています。

 

もちろん公演や観光だけでなく、表敬訪問や、歓迎会への参加、催しや余興への出演、お稽古もあります。一行の忙しくも充実した日々については、巻末の日誌に詳しく記録されています。ニューヨーク行きなんて、旅の最中に決まっているんですよ。

当時、アメリカ本土へは、船で片道2週間はかかりました。一般市民には易々と手の届くものではなかったでしょう。一生に一度、経験できるかどうかの貴重な旅。異国の地で公演する緊張や疲労はもちろんあったでしょうが、写真の中のタカラジェンヌたちは、旅を心から楽しんでいるようにみえます。この本を手に取ったファンも、映画の中でしか見ることのない地に、彼女らが降りたち散策する姿を、まぶしく眺めたのではないでしょうか。

太平洋戦争開戦により、日米が敵対関係になるわずか2年前の出来事でした。

 

 

さて、池田文庫で所蔵している海外公演記念アルバム・写真集にはどのようなものがあるのか。まずは、池田文庫蔵書検索サービスの詳細検索画面をご覧下さい。

請求記号のところに「775-T/Cb-K」~「775-T/Cb-K」と入力し検索すると、一覧が出てきます。

池田文庫では、海外公演記念アルバム・写真集に「775-T/Cb-K」という独自の記号を付与し、整理しています。

公演先の国名で検索しても、うまくヒットしない場合は、この方法でも調べてみてくださいね。

 

 

(司書H)