阪急文化財団ブログ

池田文庫の本棚放浪記【第35回】阪急沿線情報誌 昭和後期篇 ~『阪急沿線』~

 現在、駅などで配布されている阪急沿線情報誌『TOKK (トック)』。日常的に阪急電車にお乗りの方はきっと目にされたことがあると思います。『TOKK』が誕生したのは19724月。今回ご紹介する『阪急沿線』は、197511月から19903月まで、一時期『TOKK』と並行して発行されていた情報誌です。

 

 『TOKK』は行楽・娯楽情報誌としての性格が強かったため、会社経営の基盤たる"鉄道"について、乗客や沿線住民とコミュケーションを図るPR誌の必要性が叫ばれ、『阪急沿線』は生まれたそうです。*

 『阪急沿線』は19904月に『Linea (リネア)』としてリニューアルし、やがて『TOKK』に吸収されます。現在の『TOKK』の中に『Linea』というコーナーがあるのをご存知でしょうか?『阪急沿線』はこの『Linea』ページのご先祖ということになります。何の気なしに手に取るフリーペーパーにも歴史あり、ですね。

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 さて、『阪急沿線』、内容をみてみますと、駅や電車関係のニュースが中心です。いくつか記事タイトルを拾ってみましょう。

 

「どんどん伸びるホームの屋根」(19766月号)

「長い電車で輸送力増強」(19772月号)

「高架化工事は各駅で順調に進んでいます」(19835月号)

「阪急電車はすべて冷房車 冷房化100%を達成」(19866月号)

「京都線特急に列車電話を設置」(19876月号)

 

 丹念に読んでいきますと、70年代から80年代にかけて、輸送力増強、駅業務の自動化、駅設備の拡充、高架化がドンドン進み、駅および駅周辺の風景が様変わりしていくのがわかります。

 一方で、車窓クイズ、読者からの電車関係の質問に答えるコーナーや、沿線で趣味やスポーツを楽しんでおられる同好会の活動の紹介などもあり、アットホームな雰囲気もある情報誌です。

 

 『阪急沿線』は、このたび約2,500件の記事索引の作成が完了しました。蔵書検索ページから記事タイトル等を検索でき、どんな記事が何年何月号に載っているかわかるようになりました。後継誌『Linea』の記事索引もすでに作成済です。

 

 調べものや、なつかしい沿線・駅の風景との出会いを楽しんでいただくのにご活用いただけましたら幸いです。

 

*阪急電車PR誌小史. 『阪急沿線』第50, 197912, p. 4

 

(司書H)