阪急電鉄・阪急百貨店の創業者小林一三(雅号「逸翁」1873-1957)と、東急グループの基礎を築き上げた五島慶太(雅号「古経楼」1882-1959)は、鉄道事業を基盤とする多様な事業を展開し、豊かな現代社会の創出に寄与しました。また、映画をはじめさまざまな文化事業にも取り組み「東西」で競い合うかのように、人々の生活を彩るビジネスに熱意を傾けました。
その傍らで二人は「数寄者」として茶の湯の交流を楽しみ、優れた文化財を含む美術工芸品のコレクションをそれぞれに成し遂げました。その蒐集品は逸翁美術館と五島美術館とにそれぞれ収められ、両館が開催する展覧会などの機会を通じて、優れた評価を受けています。
今秋、逸翁美術館と五島美術館では、共同企画として二人のコレクションをテーマに展覧会を開催することとなりました。相似性や特色がうかがえる両館の美術工芸品を、50点程度ずつ出品し、両人がビジネスの合間に心の安らぎとした「美」の世界をご紹介します。同じ時代を生きた小林一三と五島慶太の二人が、その事業に対する舵取りと同様、他に依らず自ら選ぶ、意識の高い文化人であった事も、互いのコレクションを通じて感じ取っていただけましたら幸いです。
※五島美術館では10月20日(土)~12月9日(日)の期間、開催されます。