この図は、呉春筆「秋夜擣衣図」です。部分アップも載せておきますね。
茅屋の家の前で、1人の女性が月下のもと、砧を打っています。砧を打つ仕事は古来より女性の夜なべ仕事であり、灯火の節約や家人の邪魔にならないように月明かりの下、家の外で砧を打ちました。
砧は俳句では秋の季語であり、秋の夜長にもの悲しさを助長する音として捉えられています。冴えた月明かりの下、無声の絵画から砧を打つ音がきこえてくるようです。
この頃では砧を打つ音を聴くことも少なくなりましたね。
砧の音がYouTubeに上がっていたので参考までに・・。これは宮古上布の仕上げの砧打ちとなっているので少し趣きが違いますが、槌で布を打つ音はこういった音になります。
秋の夜長に聞くとまた違う風情があるのでしょうね。
(学芸員A)