NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第6弾
2015年09月25日
松永安左エ門翁篇も先だって26日に放送が終りましたね。 この「経世済民の男」シリーズもこれで終わりなのかと思うと、少し切なくなります。 「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門翁は、 先の二名とは違って、ある年代だけを切り取ったドラマになっていましたね。 個人的には、生涯をダイジェストで追うのも、 この様に切り取って採り上げるのもどちらも良いところ、難しいところがあるなぁと思いましたが、 安左エ門翁の電気事業に対する強い思いは表現されていましたね。 どの回もこの放映回数では物足りない!そう感じられたのではないでしょうか。 ドラマの中で、お茶を楽しむシーンや、茶碗を購入しようとして奥さんに止められていたシーンがありました。 ご存じの方もいらっしゃると思いますが、この安左エ門翁と一三翁は茶友で、 それも親友と言っていいくらい仲良くしていました。 若い頃には、実は一緒に牢屋に放り込まれたこともあるってご存じでしたか? この時、一三翁は飄々としていたのですが、それをみた安左エ門翁が驚いたということが自叙伝などに書かれています。 元々、安左エ門翁はお茶に興味がなかったんです。 お茶に没頭する一三翁を呆れて見ていた安左エ門翁ですが、後には茶道に没頭するようになり、 茶人垂涎の的であった「佐竹本三十六歌仙切」を手に入れた際には、 その事を知った一三翁が「いっぱしの茶人になった」と述べたことなどもありました。 ドラマでは一切交流が描かれなかったのが少し残念でしたね。 なかなか難しいかもしれませんが。 この絵は安左エ門翁に一三翁がお土産にもらったものです。 アマン=ジャンの「少女像」です。また一三翁が亡くなった時に安左エ門翁からコウ夫人に届いた追悼の漢詩はこちらです。
どちらも二人の交流を物語る作品です。 後、もう一つ、ドラマの中で安左エ門翁がその他の委員達とお茶を飲んでいたシーンなどで使われていた建物は、 三重県の桑名にある「六華苑」という建物なのですが、 この六華苑は諸戸清六氏という方の旧邸で、和洋折衷のとても素敵な建物です。 初代の諸戸清六氏と一三翁は若い時代に実は交流があります。 三井銀行の大阪支店に勤務中に、諸戸清六氏と出会った若い一三翁に、 諸戸氏は勤務振りを誉め、袂から桑名名産の蛤のしぐれ煮を下さったそうです。 安左エ門翁と二代諸戸清六氏は茶友でもありましたから、 この六華苑でドラマ撮影が行われたことで、 時空を超えた交流があったことになりますね。 安左エ門翁との交流は、2年前に展覧会でもご紹介しました。 「茶の湯交友録 小林一三と松永安左エ門-逸翁と耳庵の名品コレクション」という図録でご紹介しています。 よろしければご覧ください♪ (学芸員A)