NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」のトリビア 第3弾
2015年09月11日
小林一三ドラマ・トリビア第3弾です。 ドラマの中でもひときわ異彩を放つ借金ダルマ。 前篇の後半、一三さんがダルマの悪夢にうなされるシーンがありましたが、 あの時寝ころびながら読んでいた雑誌がこれです。『ホトトギス』1907(明治40)年1月号です。 夏目漱石「野分」、寺田寅彦「森の絵」、高浜虚子「欠び」などが収録されています。 ただしドラマで使われたのはこれを基にした複製で、 裏表紙は同年12月号のものが使われています。 この『ホトトギス』、現在は池田文庫の所蔵ですが、 旧蔵は小林一三自身ですので、本物の一三さんも手にしたものと思われます。 100年以上時が流れてドラマで使用されるなんて、何だかステキなお話ですね。 一三さんは若い頃から文学と芝居が大好きでした。 ドラマでも小説を書いているシーンがありましたが、 実際17歳で新聞に小説を連載するなど、早熟の文才を持ち合わせていたようです。 宝塚歌劇の台本も30作ほど書いています。 ほかでもない『ホトトギス』だからこそ、文芸を愛した一三さんのもう一つの顔が、 さりげなくあの場面に描かれていた...のかもしれません。 (学芸員Y)