美術品の修理について
2015年02月08日
先日、当館の収蔵品である、とある絵巻の修理状況の打合せに行ってきました。 美術品は時代を経ているため、大切に保管していても、 徐々に劣化してしまいます。 一口に劣化といっても種類はさまざまです。 虫によるもの、光りや水、糊が剥がれたり、シミが出来たり。 そのため、私たち学芸員の仕事では、劣化にいち早く気付く事が出来るように、 展示する際や、折々に作品のコンディションをチェックすることはとても大切です。 今回の修理作品は絵巻物です。 絵巻物は構造として紙と紙を糊で繋いであれほどの長さにしているのですが、 絵や文字が書かれている「本紙」と呼ばれている紙を普段皆さんは見ておられますが、 実はあの紙は1枚だけではなく、その裏には裏打ちと呼ばれる本紙を補強するための紙が貼り付けられています。 今回の修理は大掛かりな修理になるので、 この裏打ちを外してまず1紙ずつばらばらの状態にして、 新たな裏打ちを施してもらい、また元の巻子の状態に繋ぎ合わせてもらいます。 この裏打ちの紙の色を微妙な色の違いによって本紙を表面から見たときの色合いがかわるので、 とても重要な打合せでした。 この作品が直って当館に戻ってくるのはまだ先のことになりますが、 また皆さまにお見せ出来ることが楽しみです。 (A)