歌舞伎関連資料

演劇の専門図書館を目指していた宝塚文芸図書館は、日本の伝統である歌舞伎の資料収集にも精力的でした。 その結果、江戸時代中期以降の歌舞伎資料が所蔵されていき、幕内資料、興行主から出る宣伝用資料、ファンの目線から出版されたものなどあらゆる方向から歌舞伎をみることができます。 これらの資料は、今では世界に誇れる規模となりました。現在もできる限り収集に努めています。


役者絵

東西で活躍した歌舞伎役者を描いた浮世絵で、上方絵約8,000枚と江戸絵約14,000枚の合計約22,000枚を所蔵しています。 とりわけ上方絵のコレクションでは世界一といわれています。これらは全ページカラー図録の『上方役者絵集成』に掲載し、現在第5巻まで刊行しています。

写真:役者絵

絵看板

芝居小屋の入口を飾った大型の肉筆看板で、原則的に上演ごとに破棄されるため、現存している例は非常に珍しいものです。 明治時代の上方のものを中心に、約800点を軸装にして所蔵しています。役者絵と同じく、こちらも世界一を誇る規模です。

写真:絵看板

台帳

舞台書、ト書き、台詞からなる手書きの台本で、舞台の様子や役者の台詞・動作が具体的にわかります。 所蔵数約1,000冊のなかには、三代目中村歌右衛門の実子・二代目加賀屋橋之助旧蔵と思われるものが1割近く含まれており、「加賀橋本」と呼んでいます。

番付

公演ごとに外題と配役などを記した役割番付約4,100枚をはじめ、絵と短文による筋書本の絵尽し約960点、 毎年11月に一座の顔ぶれを紹介した顔見世番付約110枚、相撲の番付などに見立てた見立番付など約30枚、現代のポスターにあたる辻番付は約2,700枚を所蔵しています。これらは、役者絵の考証をするために収集されました。

役者評判記

京、大坂、江戸の三都の役者に対する芸評を記した書で、元禄期から幕末まで毎年刊行されました。そのなかの文化期以降のものを中心に、64点所蔵しています。