阪急文化財団ブログ

阪急文化アーカイブズ「絵本番付」「絵番付」の画像を公開

 2024年2月より阪急文化アーカイブズにて「絵本番付」255点、「絵番付」39点の画像を公開しました。絵本番付とは、江戸時代に劇場などで販売された小冊子で、お芝居のさまざまな場面が所狭しと描かれています。江戸のものは「絵本番付」、上方のものは「絵尽し」と呼ばれました。「絵尽し」の画像は2023年4月より公開しています。

ehonh20240218.jpg
1. 天保3年(1832)の絵本番付の表紙
2.『天竺徳兵衛韓噺』 の絵本番付(1の中身)

左上に、蝦蟇(ガマガエル)が吐いた煙から登場する天竺徳兵衛(三世尾上菊五郎)が描かれています。「古今珍らしき大仕かけ大道具」とも。

 一方の「絵番付」は一枚摺で、絵がメインの番付です。内容は「絵本番付」や「絵尽し」と似ています。阪急文化財団池田文庫が所蔵する「絵番付」はほとんどが享保年間(1716~1736)の浄瑠璃のものです。

3. 享保16年(1731) の「国性爺かつせん」絵番付

下段に、虎退治をする和藤内が描かれています。



阪急文化アーカイブズでご覧いただくには、以下を選択して検索すると便利です。
・検索カテゴリ:浮世絵・番付
 └詳細検索の分類:番付/絵本 ←「絵本番付」
 └詳細検索の分類:番付/絵番付 ←「絵番付」

hba20240218.jpg
4. 阪急文化アーカイブズ検索画面

阪急文化研究年報第12号を発行しました

ar12.jpg

 学芸員による調査・研究の成果を発表する『阪急文化研究年報』第12号を刊行しました。内容は以下のとおりです。

  • 仙海義之「博物館展示論(一)-「WHAT」何を展示するのか?「HOW」どのように展示するのか?」
  • 宮井肖佳「小林一三の目指した文化ネットワークとその意義(八)-「稲束家日記」から見る池田から生まれた交流」
  • 正木喜勝「阪神急行電鉄の新聞広告(一九一八~一九二〇)」
  • 竹田梨紗「連載(十二)逸翁美術館蔵「芦葉会記」(昭和二十七年)」
  • 令和4年度事業報告

 閲覧ご希望の方は池田文庫にお越しいただくか、お近くの公共図書館や大学図書館にお尋ねください。

池田文庫の本棚放浪記【第35回】阪急沿線情報誌 昭和後期篇 ~『阪急沿線』~

 現在、駅などで配布されている阪急沿線情報誌『TOKK (トック)』。日常的に阪急電車にお乗りの方はきっと目にされたことがあると思います。『TOKK』が誕生したのは19724月。今回ご紹介する『阪急沿線』は、197511月から19903月まで、一時期『TOKK』と並行して発行されていた情報誌です。

 

 『TOKK』は行楽・娯楽情報誌としての性格が強かったため、会社経営の基盤たる"鉄道"について、乗客や沿線住民とコミュケーションを図るPR誌の必要性が叫ばれ、『阪急沿線』は生まれたそうです。*

 『阪急沿線』は19904月に『Linea (リネア)』としてリニューアルし、やがて『TOKK』に吸収されます。現在の『TOKK』の中に『Linea』というコーナーがあるのをご存知でしょうか?『阪急沿線』はこの『Linea』ページのご先祖ということになります。何の気なしに手に取るフリーペーパーにも歴史あり、ですね。

DSC_0899.JPG

 さて、『阪急沿線』、内容をみてみますと、駅や電車関係のニュースが中心です。いくつか記事タイトルを拾ってみましょう。

 

「どんどん伸びるホームの屋根」(19766月号)

「長い電車で輸送力増強」(19772月号)

「高架化工事は各駅で順調に進んでいます」(19835月号)

「阪急電車はすべて冷房車 冷房化100%を達成」(19866月号)

「京都線特急に列車電話を設置」(19876月号)

 

 丹念に読んでいきますと、70年代から80年代にかけて、輸送力増強、駅業務の自動化、駅設備の拡充、高架化がドンドン進み、駅および駅周辺の風景が様変わりしていくのがわかります。

 一方で、車窓クイズ、読者からの電車関係の質問に答えるコーナーや、沿線で趣味やスポーツを楽しんでおられる同好会の活動の紹介などもあり、アットホームな雰囲気もある情報誌です。

 

 『阪急沿線』は、このたび約2,500件の記事索引の作成が完了しました。蔵書検索ページから記事タイトル等を検索でき、どんな記事が何年何月号に載っているかわかるようになりました。後継誌『Linea』の記事索引もすでに作成済です。

 

 調べものや、なつかしい沿線・駅の風景との出会いを楽しんでいただくのにご活用いただけましたら幸いです。

 

*阪急電車PR誌小史. 『阪急沿線』第50, 197912, p. 4

 

(司書H)

阪急文化アーカイブズ「絵尽し」の画像を公開

 2023年4月より阪急文化アーカイブズにて「絵尽し(えづくし)」の画像を公開しました。絵尽しとは、江戸時代に劇場などで販売された小冊子で、現代の公演パンフレットのようなものです。上方では「絵尽し」、江戸では「絵本番付」と呼ばれました。この呼び方からもわかるとおり、絵でお芝居の内容が紹介されています。配役のほか、場面の簡単な説明文が入ることもあります。

edks012-092.jpg1. 嘉永6年(1853)の絵尽し表紙

edks012-092p2_1.jpg2.『仮名手本忠臣蔵』の絵尽し(1の中身)

 観劇前に想像したり、観劇後に見返して思い出したり、そういった楽しみ方をしていたのかもしれません。また現代では、絵尽しは「役者絵」の考証にも役立ちます。役者絵で描かれた場面がどのような場面か、より詳しくわかる場合があります。

572-01_02.jpg3.『仮名手本忠臣蔵』五段目の役者絵

edks012-092p2_2.jpg4. 2の絵尽しにも3の役者絵と同じ場面が描かれている(着色部分)

 絵尽しの方には、「斧定九郎 与一兵衛をころし金をとる 翫雀」(青の箇所)「与一兵衛 さいご 友三」(緑の箇所)のように配役と場面の説明が入っています。今回は『仮名手本忠臣蔵』という有名な作品ですので、役者絵だけでも十分伝わるのですが、そうでない作品の場合は、絵尽しが役者絵をより深く理解する手がかりになることもあるのです。

 阪急文化アーカイブズでは、横断検索で「絵尽」と検索するほか、以下を選択してご覧ください。絵尽し748点の画像が閲覧できます(2023年4月現在)。
 検索カテゴリ:浮世絵・番付
 詳細検索の分類:番付/絵尽(絵本番付)

arc_e.jpg5. 阪急文化アーカイブズ検索画面

阪急文化研究年報第11号を発行しました

年報11号

学芸員による調査・研究の成果を発表する『阪急文化研究年報』第11号を刊行しました。

内容は以下のとおりです。

■論文

仙海義之「小林一三 ―「文化のプロバイダー」としての姿」

正木喜勝「箕面有馬電気軌道時代の新聞広告(一九一四~一九一八)
     ―沿線七福神詣と宝塚少女歌劇出張公演を例として―」

■資料紹介

竹田梨紗「連載(十一)逸翁美術館蔵「芦葉会記」(昭和二十六年)」

宮井肖佳「鈴木華邨筆「箱根日記」」

■事業報告


閲覧ご希望の方は池田文庫にお越しいただくか、お近くの公共図書館や大学図書館にお尋ねください。