雅俗山荘屋根及び外壁修繕工事 工事完了のご報告
2023年05月16日
本工事の主な内容は、1937年の竣工時のままとなっていた瓦葺きの屋根を葺き替えることでした。
葺き替え工事の目的は、屋根全体を点検修理する機会として、登録文化財である建物を守る屋根の役割を保持することにあります。屋根材としているいぶし瓦の耐用年数は約40~50年といわれていました。葺き替えでは、屋根材だけではなく下葺き材まで新しくすることで、雨漏り等の根本的な対策となります。また、古い瓦屋根では下地に葺き土が盛られていますが、これを現在の建築基準法に則った下葺き材に交換し、屋根の自重を軽くして耐震性を向上させます。
併せて、葺き替え工事のために組んだ足場を有効利用して、外壁材の左官工事・塗装工事等を行い、建物の美観を向上させることといたしました。
● 工事完了写真
全景 西側 北より
● 屋根葺工事
スペイン風本瓦葺き 瓦屋根合計:≓ 566.4㎡
□ 資材
- スパニッシュ瓦いぶし
- 上丸 9672枚
- 下丸 11210枚
- 袖瓦(左右) 372枚
- 棟瓦七寸丸 485枚
- 棟巴瓦 11枚
- 棟三ツ又瓦 8枚
- 棟カッポン瓦 8枚
- トンビ瓦 8枚
- 縦桟 984本
- 横桟
- アスファルトルーフィング 55本
- シルガード(白漆喰)
□ 作業工程
- 既設の瓦を撤去(瓦の種別毎に数枚ずつを資料として保存)
- 葺き土を除去
- 屋根や庇の下地が腐食した箇所を撤去、軒裏化粧板や野地板を設置
- アスファルトルーフィングを貼る
- 横桟、次いで縦桟を設置
- 下丸瓦を葺く
- 併せて、軒先ひろこまい、谷板金止水パッキン、大屋根・ドーマー屋根取り合い水切り板、袖瓦等を設置
- 屋根勾配の変更部に止水処理
- 上丸瓦を葺く
- 棟下地の桟を設置し、同所を漆喰塗り固定、棟瓦七寸丸を設置
- 棟三ツ又瓦を設置、棟カッポン瓦・トンビ瓦を設置
完了写真 南側 西より
● 左官工事
外壁補修
□ 資材
- かきりしん(掻き落とし仕上げ材)
- 色つけ色粉
□ 補修内容
- 外壁ひび割れ部に、カッター入れ、かきりしん補修
- 煙突点検口廻り、外壁調査コア抜き部を補修
- 木部取り合い、外壁瓦取り合いをかきりしん補修
- 手摺外壁取り合いのひび割れ部、その他既設補修部に、カッター入れ、かきりしん補修
漆喰塗り
- 大屋根軒先・下屋壁側に、ロックウールを詰め、面戸を漆喰塗り
● 塗装工事
鉄部
□ 資材
- エスケースマートボーセイW(さび止め塗料)
- エスケースマートシリコンW(皮脂軟化対策鉄部用塗料)
□ 作業内容
- 鉄扉・鋼製金具・格子・シャッター・柱等に、錆止塗装後、中塗り・上塗り
木部
□ 資材
- 水性バトンプラス(着色剤、自然系木材保護塗料)
□ 作業内容
- 軒裏 塗装(吹付・ローラー)
- 柱・大梁・手摺・デッキ・建具 塗装(ローラー・刷毛)
- 玄関扉 塗装(刷毛)及びクリア塗装(刷毛)
- 面台下 塗装(刷毛)
- ドーマー屋根 塗装(吹付)
- 茶室柱・建具 塗装(吹付・刷毛)
完了写真 木製建具 手摺
● 雨樋工事
屋根・下屋・庇軒先
□ 作業内容
- 既設の雨樋を清掃し、劣化穴あき部を銅板補修、ジョイント劣化部に銅板設置
● 漏水対策工事
茶室雨漏れ対策
□ 作業内容
- 既設板金の隙間をシール打ち
- 既設板金の上に板金設置、同天端をシール打ち