2011春季展

「与謝野晶子と小林一三」

期間:2011年4月2日(土)~6月12日(日)

情熱の歌人と評された、与謝野晶子(1878~1942)。
彼女の残した和歌はその生涯において、数万首に及びます。晶子は、歌集『みだれ髪』や、日露戦争時に戦地に赴く弟を思って作った「君死にたまふことなかれ」などの歌人としての活動の他に、評論家、作家としても活躍しました。中でも『源氏物語』や『栄華物語』などの古典文学の現代語訳にも意欲的に取り組みました。

与謝野晶子と小林一三(1873~1957)の交流は、明治40年頃に始まりました。大正9(1920)年1月25日、一三は、晶子からの手紙を受け取りました。そこには、先年一三宅で上田秋成他筆「源氏物語短冊貼交屏風」を拝見し、大変感動したため、自らも同じように源氏物語五十四帖、それぞれの歌を詠みたいと思うようになった。ついに完成したため、それを書いた短冊54枚をお送りするので、自分の短冊を同じように屏風にしてほしい、そう書かれていました。この時点では、晶子はこの歌を発表するつもりはなかったようですが、大正11(1922)年『明星』1月号に発表すると、その後次々に短冊、色紙、巻子等に揮毫し、頒布してきます。また、昭和13(1938)年に刊行した『新新訳源氏物語』の各巻の先頭にも載せられています。

これらは、与謝野家の苦しい経済事情にも因るのでしょうが、それだけ評判になり、人々の関心が高かったからともいえます。今回の展示では当館所蔵の、晶子が一三に贈った「源氏物語礼讃歌」短冊54枚、これを詠むきっかけになった、上田秋成筆「源氏物語短冊貼交屏風」を始め、その由来を記した手紙(池田文庫蔵)や、当館が他に所蔵する、「懐紙 宝塚にてよめる」、「和歌短冊十二カ月」、などと共に、各所蔵者様からお借りした貴重な作品を展示することで、新しい視点からの晶子と一三像を構築するとともに、2人の交流の姿を御覧下さい。

主催 逸翁美術館・朝日新聞社
特別協力 堺市・堺市教育委員会
会期 4月2日(土)~6月12日(日) ※期間中一部展示替えあり
開館時間 午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 毎週月曜日
入館料 一般 1000円 大・高生 600円  中学生以下無料
※シニア(65歳以上)の方は入館料700円。その他各種割引あり
その他 毎週土・日・祝日にお茶を呈します。一服500円(受付:午前11時~午後3時)
講演会 4月16日(土)午後2時より 「小林一三と与謝野晶子 -商人と文人のはざま-」
武庫川女子大学教授 たつみ都志氏

5月21日(土)午後2時より 「与謝野晶子の人と作品 -古典研究を中心に-」
日本文芸学会常任理事・元大谷女子大学教授 入江春行氏

6月4日(土)午後2時より 「与謝野晶子の源氏物語礼讃歌」逸翁美術館館長 伊井春樹氏

※全講演会とも、入館者聴講無料。午後1時より座席券配布、先着120名。
イベント 4月23日(土)午後2時より
「与謝野晶子 朗読コンサート ~ピアノの調べによせて」 料金1500円
ギャラリートーク 4月30日(土)・5月28日(土) 各日午後2時から担当学芸員による展示解説