美術に欠かせない色、黒。絵画における水墨画、書における古筆や墨蹟は、黒い墨の濃淡で様々な風景や人物を描き分け、墨のかすれや線の太さや細さで、絵画や文字を書く人の個性を表します。
また、工芸品においては、黒い釉薬の焼き物や、日本人に馴染みの深い漆を用いた作品などがあります。焼き物では、釉薬や焼成方法、温度や作られた場所などによって黒の発色が異なり、漆芸品では、漆の性質や塗り重ねられた上に磨かれることで生み出される艶のある黒など、それぞれが古から多くの人々を魅了してやまない"黒"色です。
今回の展覧会では、そうした黒をモチーフにした作品に注目し、水墨画や古筆切、墨蹟などの掛軸や、樂茶碗や瀬戸黒茶碗、漆を用いた棗や盆、器などを収蔵品の中から展示し、黒い美術(ART)を取り上げます。





