

(上)万暦染付雲鶴文食籠
(下)五彩刀馬人文六角合子
青色と赤色、みなさんはどんなイメージを持っていますか?冷静な青、情熱の赤、澄み渡る青空、燃えさかる赤など、あらゆる場面において対比して採りあげられることの多いこの二つの色。絵画では人物が身にまとう衣装に意味をもたせるために使われたり、やきものでは器面の模様を華やかに彩る顔料・染料として用いられています。
青と赤、先に「色」として注目を集めたのは赤だったと言われています。最古の壁画や土器、時には身を彩る色として世界各地で用いられました。しかも赤い色には不思議な力があると考えられたのでしょうか。神様の像やお供えを入れる祭器などにも赤い色が用いられた例が多くあります。
青色は、ラピスラズリやトルコ石、日本では翡翠などの青い石が尊ばれ、石そのものを神像に用いられたり、首飾りなどの装身具として加工され、護符のように身につけることも多くありました。また青磁や瑠璃色の鉢などが産み出されたのも、青空や星が瞬く夜空など、美しい青色への憧れかもしれません。このように、赤と青、どちらにも不思議な力や魅力を古来より感じ、その思いを形にしてきたことがわかります。
この展覧会では、青と赤、それぞれの色が持つ「色の力」や「神秘的な魅力」を、絵画ややきものなどを通してご覧いただきます。時を超えて愛でられる、青と赤の世界にご案内します。