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ミニ展示「小林一三生誕150年 小林一三とソーライス -初期の阪急百貨店食堂-」

 池田文庫のロビーでは、ミニ展示「小林一三生誕150年 小林一三とソーライス -初期の阪急百貨店食堂-」を開催中です。

 今回は、初期の阪急百貨店食堂を取り上げます。阪急百貨店の食堂にまつわるエピソードに、ソーライスがあります。ソーライスとは、1皿5銭の福神漬付きライスを注文し、お客みずからテーブルに置いてある無料のソースをかけて食べる、ソース・ライスのことです。小林一三は白飯だけ(プレーン・ライス、ライスオンリー)の注文も歓迎し、そういうお客にはご飯の盛りや福神漬の量を多く提供しました。

 そのきっかけとなる話が、中山治人「小林一三氏と労働者のご飯問答」で報告されています。関西出張中の中山が聞知したこの事件が起こったのは、1930(昭和5)年12月某日、午後1時頃。ある労働者たちが1皿5銭の白飯を注文したけれど足りず、おかわりを注文したところ、店員と給仕さんたちに「ご飯ばかり頼まれては困る」と断られたため、一悶着あり、それでは経営者に談判しようと、10数人の労働者が阪急本社に押しかけました。社長の小林一三が応対し話を聞くと、独立したメニューである以上、何人前でも注文が可能なはず、また独立したメニューとして食べられるよう福神漬を多くしてほしいという労働者たちの要望を聞き入れ、福神漬やご飯の量を多くすることを約束したのでした。

 この対応は、不景気の時代に学生たちにも喜ばれ、社長みずから給仕する姿とともに、小林一三の逸話として語り継がれています。

 池田文庫所蔵の図書・雑誌から、その後の小林一三とライス・福神漬にまつわる話、初期の阪急百貨店食堂の様子とその裏側を紹介します。

(9月3日(日)まで)[sa]

  ※『人の噂』第2巻第3号(1931年3月)月旦社 p55に掲載。
当館では未所蔵につき、国立国会図書館、または国立国会図書館の図書館向けデジタル化資料送信サービスを行っているお近くの図書館でご覧ください。

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