特殊文庫(02)

当館ゆかりの方々から寄贈された蔵書は一般図書と区分し、寄贈者名を冠した文庫としてそれぞれ収蔵しています。数量的にもまとまったコレクションであるため、目録からは寄贈者の人となりを伺うことができます。


布屋文庫(ぬのやぶんこ)

小林一三の生家で保管されていた約3,000点の文書と約1,500冊の書籍です。昭和56(1981)年に池田文庫へ移管され、山梨県韮崎にあった生家の屋号を冠して文庫名としました。

古文書は小林家が村役人を勤めた際の江戸後期から明治前期の公文書と、醸造業、製糸業、金融、地主経営をしていた当時の小林家の私文書からなっています。書籍は江戸文学・歴史・山梨の地誌・辞書・明治初期の教科書など、さまざまな分野にわたります。

写真:布屋文庫

白井文庫

昭和59(1984)年に寄贈された、宝塚歌劇団の演出家・白井鐵造が収集した書籍と資料約13,000点。

白井は宝塚歌劇の舞台作りのために5回洋行しました。その際に多数の洋雑誌やオペラの台本、楽譜、 パリミュージックホールのプログラム、レコード、ポスターなどを収集しました。さらに、観劇ノート、創作ノートも残しています。なかには実際の宝塚歌劇の舞台の参考として使われた資料もあり、宝塚レビューを完成させた白井の足跡がたどれます。

写真:白井文庫

川崎文庫

元川崎造船副社長・川崎芳太郎が収集した和本約2,000冊からなり、芳太郎没後の昭和9(1934)年に寄贈を受けました。

芳太郎は美術に造詣が深く、自らも「暁雨」と名乗る画人であったため絵本読本の挿絵を収集していました。その蔵書の内容は、江戸時代に刊行された絵本読本のほか、名所図会といった地誌、歴史、文学など、多岐にわたっています。

なかでも特筆すべきは、幕末明治期の絵師・松川半山の旧蔵本をもつこと。 主なものには『絵本太公記』(全84冊)などがあります。

写真:川崎文庫