特殊文庫(01)

当館ゆかりの方々から寄贈された蔵書は一般図書と区分し、寄贈者名を冠した文庫としてそれぞれ収蔵しています。数量的にもまとまったコレクションであるため、目録からは寄贈者の人となりを伺うことができます。


逸翁文庫(いつおうぶんこ)

小林一三が昭和27(1952)年に寄贈した旧蔵書12,000冊からなり、雅号の逸翁を冠する文庫です。その内容は文学・演劇・茶道や政治経済など多分野に及び、なかには一三と親交のあった人物から贈られ、サインがしたためられたものもあります。

写真:逸翁文庫

美術品売立目録

美術品売立目録は昭和27(1952)年、小林一三の旧蔵書とともに寄贈されました。
「売立目録」とは、多くの名家や所蔵家が伝来の品を売りに出した際、一点一点を調査し、写真を入れるなどして作成される目録です。事業家であった一三は同時に茶人としても知られ、古美術商や古書店から終生にわたって茶道具や書画などを購入していました。そのため、多数の「売立目録」が遺されています。

写真:美術品売立目録

小林家文庫

小林家の収集による図書や雑誌。昭和33(1958)年に小林一三の長男・冨佐雄収集の約1,900冊、昭和44(1969)年に三男・米三収集の約1,100冊、昭和63(1988)年には主に冨佐雄とその夫人富士子収集の約6,200冊がそれぞれ寄贈されました。

なかでも冨佐雄が収集した約500冊の近代文学書は、尾崎紅葉、泉鏡花、永井荷風の著書を中心に、同一書名につき初版本だけでなく、再版、改版、さらには文庫本までが揃っているのもあり、美麗な装幀がもてはやされた時代の貴重なコレクションです。

また、モードに関心があり、昭和14(1939)年に初渡米した宝塚少女歌劇団の制服をデザインした富士子収集資料のなかには、 他機関にも見あたらない昭和初期の雑誌『ファッション』があります。

写真:小林家文庫

松岡家文庫

平成16(2004)年に寄贈された、松岡家収集の2,300冊。これらは、松岡家に養子に入った小林一三の二男・辰郎らの蔵書です。辰郎は東宝の社長をしていたこともあり、映画演劇関連の資料も含まれます。